「介護の仕事、来てほしい」と言いながら、その職場を壊そうとしている話

介護に関するニュースと私の意見

こんにちは、介護事業を8年経営している あーちゃんです。

今日はちょっと、モヤモヤしていることを書かせてください。

「介護職が足りない」「若い人に来てほしい」

ニュースでも、行政の資料でも、毎日のように見かけます。 私自身も、本当にそう思っています。

でも最近、こんなことを思うんです。

「来てほしい」と言うなら、来た人を守れる場所にしてから言ってほしい。

今日はその話をします。


まず、行政がどれだけ必死か見てほしい

最近、事業所にこんな案内が届きました。

  • 高校生・20歳以下 → 初任者研修が無料
  • 介護未経験者 → 受講料最大10万円補助
  • 他業種からの転職者 → 就職支援金最大20万円
  • 離職した介護職の出戻り → 再就職準備金最大40万円

2年間働き続ければ、返還不要。

これ、かなり本気ですよね。 人手不足が深刻で、現場が本当に困っているのが伝わってきます。

私も「ありがたいな」と思いました。

でも同時に、複雑な気持ちになりました。


一方で国は、真逆のことをしています

2024年度、国は訪問介護の基本報酬を2%以上引き下げました。

その結果どうなったか。

2025年、訪問介護事業所の倒産は過去最多。
倒産と廃業を合わせると、1年間で556の事業所が消えました。

全国47都道府県に換算すると、1県あたり約12か所です。

そして2026年4月——

財務省が「介護報酬をさらに引き下げれば約1,420億円の費用を抑制できる」という試算を出してきました。
根拠は「介護の利益率は他産業より高い」。

前回引き下げた結果、これだけの事業所が消えた。 その検証もしないまま、また同じ方向を向いている。


ちょっと待ってください。矛盾してませんか?

整理するとこうなります。

県:「介護職に来てください。補助金出します。」

国:「介護報酬、下げます。」

この2つが同時進行しています。

県が入口に敷物を敷いている。 その奥で、国が床を抜こうとしている。

入ってきた若者が立つ場所が、どんどん薄くなっていく。

これって、おかしくないですか?


「利益率が高い」って本当?

財務省の言う「利益率が高い」には、カラクリがあります。

施設に併設された、条件の良い訪問介護事業所が平均を押し上げているんです。
自転車で一軒一軒回っている地域の小規模事業所とは、まったく別の話。

実態として、収益率が5%を下回る事業所は半数を超えています。

しかも介護業界の人件費率は約64%。収益のほとんどは人件費に消えます。
残ったわずかな利益から設備更新や借入返済を賄う。それが現実です。

それでも介護職員の給与は、全産業平均より月8万円以上低いまま。

利益率が高いなら、なぜこの差が埋まらないのか。
答えは明白で、利益は賃上げに消えており、内部に蓄積されていないからです。


報酬を下げると何が起きるか、もう答えが出ています

報酬が下がる

 ↓

事業者が賃上げできない

 ↓

人が集まらない、辞めていく

 ↓

サービスが届かなくなる

 ↓

困るのは利用者と家族

この流れ、一度経験しましたよね。2024年度の改定で。

同じことをもう一度やろうとしている。


それでも、来てほしいと思っています

矛盾していると、自分でも思います。

でもこの仕事には、本物の意味があります。

誰かの生活を毎日支えること。 「今日も来てくれたね」という言葉を受け取れること。 現場に立てば立つほど、この仕事の重さと豊かさがわかります。

だから来てほしい。本当にそう思っています。

ただ——

来てくれた人を守れる環境を、先に整えてほしい。

その責任は現場ではなく、制度をつくる側にあります。


最後に、財務省に問いたいこと

県が必死に若者を集めようとしている。
その事業所が、倒産し続けている。

やっていることと、言っていることが矛盾しています。

数字の話をしているのではありません。 来てくれた若者の未来の話をしています。
そして、誰かの親や家族の生活の話をしています。

その矛盾に、正面から向き合ってほしい。


最後まで読んでくれてありがとうございました。

この記事が「介護ってそういう状況なんだ」と知るきっかけになれば嬉しいです。

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